社会福祉法人みささぎ会
| 社名 | 社会福祉法人みささぎ会 |
| 業種 | 医療・福祉 |
| 設立年月日 | 1987年12月22日 |
| 社員数 | 390名 |
| 本社所在地 | 大阪府藤井寺市藤井寺4-11-7 |
| ホームページ | https://www.misasagikai.or.jp/ |
若者の採用や新卒採用を成功させるための取組

福祉関係の養成校卒業者のみならず多様なルートからの入職が増えている中、若者や新卒職員が安心して社会人生活をスタートできること、そして「福祉の仕事を選んで良かった」と思い続けられる環境づくりを重視し、職員の声を反映した福利厚生や育成制度の整備に取り組んできました。
制度ありきではなく、職員一人ひとりの声を起点に見直しを重ねており、職員の声によりできた福利厚生もあります。
【社会福祉法人みささぎ会の福利厚生(一部)について】
①新卒者住宅応援手当…遠方から就職する学生が、住居費の不安なく新生活を始められるよう、引越し費用や入居時の敷金・礼金を弊会が負担しています。家賃補助としても月額50%(最大3万円)を3年間支給しています。
②ウエルカム休暇…急な体調不良等でも気兼ねなく休暇をとれるように、入職から6ケ月以内で有給が付与されていない職員を対象に最大5日間の特別休暇を付与しています。
③奨学金返済支援制度…学生時代に奨学金を利用した職員を対象に、奨学金返済の手当を支給しています。約10年前から始めた取組です。
④奨学金制度…国家資格取得の為の、学費・書籍購入・模擬試験費などをバックアップしています。こちらは15年以上前から始めています。
⑤ブラッシュライフ制度…学ぶ意欲を応援するために、福祉分野に関わらず、職員個々が関心がある分野の資格を取得した際に奨励金を支給しています。
⑥無料コーヒーコーナー…「ちょっと一息つきたい」そんな時にいつでも利用できるように、コーヒーコーナーを設置しています。ある施設では、スティック状のカフェラテなども設置しています。
⑦バースデーギフト…ケーキや焼き菓子、ポン酢、ラーメン、カレーなど、理事長チョイスのプレゼントを誕生日月にお渡ししています。
⑧自転車通勤に関する補助制度…弊会として最寄り駅の駐輪場の確保、自転車の準備、自転車保険の加入を行い、自転車通勤が可能となる環境を整備しました。この制度は、最寄り駅から施設まで徒歩15分を要することから「通勤負担が大きい」という職員の声から導入されたものです。
⑨職員食堂…管理栄養士監修メニューを毎日提供しており、職員はバランスの取れた食事を格安で利用することができます。
また、知識や技術力の向上の為に、研修制度を見直し、入職後3年間は継続して法人内研修を受講できるカリキュラムを構築しました。
日々の不安や悩みに寄り添う仕組みとして、入職後すぐに相談できるチューター制度を設けています。専属の先輩職員が付き、業務面だけでなく、生活や人間関係などの悩みも気軽に相談できる体制を整えています。チューターには年間2万円の交際費を支給し、食事や交流の機会を通じて自然な関係づくりができるように支援しています。また、人事部が定期面接を行い、同じ部署ではない人だからこそ話せることや、感じ取れるものを大切にしています。

さらに、職員同士の交流促進にも力を注いでおります。
施設全体での懇親会を年1回、部署ごとの懇親会を年2回実施しており、費用は弊会が負担しています。
日常的にも職員同士が食事に行く機会が多く、上司が同席する場合には上司が費用を負担することもあります。
お酒の有無にかかわらず、気軽に交流できる雰囲気づくりを大切にしています。

取組の背景と変化

奥田氏:近年では、福祉系養成校の定員割れや閉校が相次ぎ、人材獲得競争が一層激化しています。
さらに、(介護業界に対して)最近は少しイメージ改善したと思っていますが、「ブラックな業界」というイメージが残っており、人材確保が難しい状況でした。
そうした状況の中で、弊会の魅力を適切に伝え、安心して働ける環境を整えることが不可欠であると考え、福利厚生の拡充に本格的に取り組むようになりました。

阿部氏:近年、介護福祉士養成校の減少により、従来の「実習生からの就職」というルートが縮小する中でも、弊会では新卒採用を安定的に継続できるようになりました。
これは、福利厚生や育成体制についての情報を丁寧に発信することで、養成校以外の学生からの関心が高まり、採用ルートの幅が広がった結果だと感じています。
実際、最近の学生は「休みが多いかどうか」といった条件面だけでなく、「自分を大切にしてくれる会社かどうか」という視点で企業を選ぶ傾向が強まっています。
その中で、弊会が導入している奨学金返済支援制度や充実した福利厚生の制度は大阪府内の介護業界では珍しく、採用の場でも学生の関心を引く大きな要素となっています。
また、遠方からの応募者には住宅支援について必ず説明しており、引っ越し費用という大きな負担に対して「しっかりサポートします」と伝えることで安心感につながっています。
こうした取組の結果、養成校以外の学生からの応募も増え、2023年卒9名、2024年卒5名、2025年卒6名と、3年間で計20名の新卒職員を採用することができています。
特に、文学部や心理学部など介護系以外の学部出身者が安定して働くことができている点は、教育体制の見直しや研修後の丁寧なフォローが実を結び始めていると実感しています。
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若者採用や新卒採用を成功させるための取組における成功談はありますか?
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採用活動の現場に、若手職員にも参加してもらう取組が大きな成果につながりました。
約3年前にリクルーティングチームを立ち上げ、人事担当に加え、入職後3年以内の若手職員を配置することで、学生が若手職員と接し、働くイメージをより明確に持てる体制を整えております。
学生と年齢が近い若手職員が「どんな企業を見ていたか」「就職活動で何を重視していたか」といった等身大の経験を語ることで、学生の緊張が和らぎ、より深いコミュニケーションが生まれています。
採用担当者が説明するよりも、若手のリアルな声の方が学生に強く響き、職場の雰囲気や人間関係の良さを肌で感じてもらえる機会にもなっています。
この取組は、介護系以外の学部の学生にも関心を持ってもらうきっかけとなり、「介護現場を理解したい」という学生が増えるなど、応募層の広がりにもつながりました。
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取組を進めているときに困ったこと等、失敗談はありますか?
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失敗談という点については、これまでの取組を振り返ると「明確な失敗」と言えるものはなく、むしろ、試行錯誤を重ねながら改善を積み上げてきたという感覚が強くあります。
たとえば、今年度から始めたインスタグラムの運用もその一つです。
更新の負担や継続できるかという不安もありましたが、挑戦したことで新卒採用の最終面接で「インスタを見ました」という声が増えるなど、確かな成果につながっています。
奥田氏:私たちが大切にしているのは、失敗を恐れずに挑戦し続ける姿勢です。
安定を求めすぎると活動が停滞してしまいますが、勇気を持って新しい取組に踏み出すことで、組織全体が活性化し、結果として採用にも良い影響が生まれていると感じています。
研修担当者の声
𠮷田氏:(私が研修を設計する上で)大切にしているのは「つながりを育むこと」です。
先輩後輩のつながりはもちろん、同期同士のつながりも重要であり、組織全体で支え合える環境づくりに取り組んできました。新人を育てるには、先輩職員を巻き込んでいくことが重要です。新人を支える過程で先輩自身も成長し、全体の力につながると考えています。
また、今後の若者採用をさらに強化していくうえで、特に重要だと考えているのが「キャリアの見通しを示す仕組みづくり」です。
若手職員と話す中で、「数年後に自分がどうなっているのかイメージしづらい」という声を聞くことが増えており、キャリアの道筋を可視化する必要性を強く感じています。

現在、キャリアアップのルートとしては、主任・リーダーといった役職者をめざす道や、資格を取得してケアマネージャーなど別の部門にチャレンジする道があります。
しかし、こうした“専門職としての道”は、まだ十分に体系化されているとは言えないのが現状です。
だからこそ、選択肢を整えていくことやもう一本のキャリア形成の柱を築くことが重要だと考えています。
これは介護職に限らず、調理員や清掃スタッフなど、すべての職種に共通する課題です。
それぞれの職種でスキルを積み上げれば正当に評価される仕組みを整えることで、個々の希望に応じた多様なキャリア形成を可能にしたいと考えています。
若手が自分の将来を前向きに描ける環境をつくることは、採用力の向上だけでなく、長期的な定着にもつながります。
今後も、職員一人ひとりが自分らしいキャリアを築けるよう、制度面の取組を進めていく予定です。
若者の声
牛澤氏:私が、みささぎ会を選んだ一番の理由は「奨学金返済支援制度」があったことです。
奨学金の負担が軽いことで、仕事もプライベートも前向きに楽しめるようになり、この制度は私にとって本当に大きな存在です。
さらに、「チューター制度」も入職の決め手でした。
私は人見知りで、自分から相談するのが得意ではありません。そんな中でみささぎ会には「自分を見てくれる人がついてくれる」制度があると学校の先生に教えてもらい、安心して入職できました。
実際に働き始めてからも、忙しそうで声をかけづらい場面でもチューターの方には相談しやすく、入職初期の不安が大きく軽減されました。

また、これは入職後に感じたことですが、手厚い「研修制度」も魅力の一つです。
3か月に1回の研修は、同期と悩みを共有できる場にもなっており、「みんな同じことで悩んでいたんだ」と安心できる機会にもなっています。2年目・3年目には課題発表もあり、先輩からアドバイスをもらいながら取り組むことで、現場での実践にもつながっています。

北村氏:私も「奨学金返済支援制度」には魅力を感じていましたが、特に安心材料になったのは「チューター制度」と研修体制の充実でした。
私は福祉系の学校出身ではなく、実習経験もなかったため、介護の現場で働くことに不安がありました。その中で、先輩職員についてもらって業務を覚える期間がしっかり設けられていると知り、「ここなら未経験でも大丈夫だ」と思えました。
実際に入職してから2か月間の研修期間があったのですが、半月ほど延長してもらえたことで、そのおかげで無理なく現場に慣れていくことができました。
また、外部研修にも参加しており、入職後に身につけた技術が自己流になっていないか見直す機会もあります。
将来、後輩に教えていく際にも役立つ内容だと感じており、学びがそのまま自分の成長につながっている実感があります。
社会福祉法人みささぎ会のこれから

阿部氏:介護を学ぶというところで身構えてしまうかもしれませんが、特別な資格や経験よりも、「人と関わる力」や
「学んでいこうとする気持ち」が大切だと思っています。現場では、様々な人が少しずつ成長しながら支え合っています。
「ともに学ぼう」という土壌は、(研修制度設計を担当している)𠮷田(施設長)が構成していますし、変化に対しては、(理事長の)奥田が「いいよいいよ」と柔軟に対応していく、そんな土台が組織全体に広がっているので、気負うことなく、目の前のことに一緒に向き合っていける人、ウェルカムです!
奥田氏:とにかく社会の役に立つ存在でありたいと思っています。
これからは高齢化がどんどん進んでいくので、介護事業そのものの安定したサービス提供は、社会課題ではありますが、まずは(弊会)が事業をさせていただいているエリアも含めて、安心して介護サービスを使ってもらえるようにと思っています。
ただ、介護だけが地域や社会の課題であるかといったらそうではなくて、子育て、就労、貧困、孤独など、課題は人それぞれです。共働き世帯が増えており、家庭力に頼りにくい時代だからこそ、社会福祉法人として、介護以外の領域でも何かお役に立てる存在でありたいと考えています。

「感想みたいにはなってしまいますが..」と話してくれました。
𠮷田氏:(若手職員2名の)コメントを聞いてすごく感動してて、研修担当やってよかったなって、振り返りをしていました。新人さんはみんなで育てるような施設にしたいなとずっと思っていたので、いろんな課題を渡したとしても、新人さんだけやるんじゃなくて、先輩も一緒にやってほしい、そんな巻き組み型の研修をしていきたいとずっと思っていました。(今回の取材で)先輩が一生懸命、新人さんのためにフォローしてくれてるんだろうなと改めて分かってよかったなと思います。
