BirTskyマシナリー株式会社

| 社名 | BirTskyマシナリー株式会社 |
| 業種 | 製造業 |
| 設立年月日 | 平成23年2月 |
| 資本金 | 300万円 |
| 社員数 | 26名+ルーキーズ5名=31名 |
| 本社所在地 | 大阪府大阪市平野区加美東1-2-38 |
| ホームページ | https://birtsky.com/company |
若者の採用や新卒採用を成功させるための取組

弊社では、新しい就業形態として「ルーキーズ」という制度を立ち上げました。 これは、若手社員が製造業(金属加工業)の基礎から専門分野までを段階的に学び、自分の意思でキャリアを選択できる仕組みです。
最初の2年間は、学校のようなスタイルで座学と実習を組み合わせ、製造業の基本知識を体系的に学びます。 3年目から、本人が興味を持った職種(役割)──営業、業務、マシニング(金属やプラスチックなどの材料を切削工具を使って削り、目的の形に加工する技術)、溶接、検査、設計、組立、配送など──を自ら選択し、その分野に特化した専門知識を深めていきます。
この制度の根底にあるのは、「自分で選ぶ」という感覚を大切にすること。 自らの意思で働く分野を選び、納得感を持って成長していく。 そのプロセスこそが、長く働き続けるための土台になると考えています。
取組の背景と変化
製造業、特に金属加工業における人手不足は、年々深刻さを増しています。 その中で若者がこの世界に入っても、長く働き続けることが難しいという現実があります。
それは製造業の現場に、今なお「見て覚えろ」という職人文化が根付いていることも原因だと考えています。 それ自体が悪いとは思いませんが、かつてのように若者が自然とそのスタイルに馴染むのは難しくなっていると感じています。
現場の既存社員からは、「人が足りないから、早く戦力になってほしい」「仕事が忙しくて、教える時間が取れない」「なぜできないのかと、ついイライラしてしまう」といった声が上がる一方で、「教え方にも問題があるのではないか」 という指摘がありました。 この声が、制度改革を考えるきっかけになったのです。
弊社は平均年齢が若く、現場も若手が中心です。また、 多様な学歴を持つ社員が活躍しています。

だからこそ、“見て覚えろ”という従来のスタイルでは、継続して働くのが難しい。 若手社員には戦力になってもらうことを急がず、まずは育てる。 心が動いた瞬間をきっかけに、自分の立ち位置や「やりたいこと」を見つけられるようにしたい。 弊社も創業から10年を迎え、次の世代を育てることに焦点を当てるべき時期に来ています。この取組は、新人教育の枠を超え、既存社員の意識改革やスキル向上にもつながると期待しています。 そうした想いから、「ルーキーズ」という新しい就業形態を創設し、実行に移しました。
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若者採用や新卒採用を成功させるための取組における成功談はありますか?
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「ルーキーズ」という取組では、新入社員全体でスキルの底上げを一律に行う方針を見直し、全体研修では想定進捗の80%までを共通内容として実施します。
残りの20%については、各社員の習熟度や課題に合わせて個別に補足・強化を行います。
また、進捗が遅れている場合でも、それぞれの状況に応じてフォローを行うことで、結果的に全体のスキル下限を引き上げられるようになりました。また、一番最初に仲間であるという意識を共有することで、ルーキーズ間での相互指導が自発的に発生しだした事は、予想を上回る成功事例といえます。
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取組を進めているときに困ったこと等、失敗談はありますか?
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理解力、記憶力、文章力、コミュニケーション力など個々の特性があり、若手社員全体のスキルの下限値を共通で引上げようとした際、想定していた研修の進捗が計画の20%しか進まなかったという経験があります。
それでも、私たちはこの取組が間違っていないと確信しています。 社員一同がその意義を共有し、これからも継続して取り組んでいくつもりです。
採用担当・人事担当者の声
岩崎氏:会社の説明をする前に、まず心がけていることは、目の前の方の緊張を少しでも和らげることです。 そして、説明者として、少しでも「この人の話なら聞いてみよう」と思ってもらえるよう、信頼していただくことです。
緊張をほぐす工夫はもちろんのこと、私は“信頼してもらうこと”を起点に話を始めるようにしています。 そのためには、言葉だけでなく、自分の表情や立ち居振る舞い、ちょっとした気遣いも含めて、BirTskyマシナリーという会社の空気を感じてもらえるよう意識しています。 会社の代表としてその場にいる以上、自分自身が会社の一部であるという自覚を持って臨んでいます。
説明の際は、こちらから伝えたいことを簡潔にお話ししたうえで、相手の中に芽生えた感想や気持ちを聞かせていただくようにしています。 「どう感じたか」「何が気になったか」――その声を大切にすることで、相手自身の選択を尊重する姿勢が伝わると信じています。
会社の魅力を伝えること以上に、「この会社なら、自分らしく働けるかもしれない」と感じてもらえるような時間にしたい。 そんな想いで、ひとつひとつの説明の場に向き合っています。

寺下氏:「ルーキーズ」という取組は、人材を育成する制度として非常に意義深いものだと感じております。通常であれば教わる機会の少ない、振る舞いや人間関係の築き方など社会生活における基本的な非言語スキルを体系的に学べる制度として、非常に価値があると感じています。
何も支援がなければ、本人の持つ可能性が埋もれたままになってしまうこともあるかもしれません。
しかし、「こういうふうに話しかけると会話がしやすくなる」といった具体的な指導を受けることで、少しずつ自信を持って行動できるようになります。
「ルーキーズ」には、3年後には立派な人材へと成長して欲しいと心から願っています。

若者の声
現在、製造業という業種において、未経験の若者を長期的に育成しようとする企業は、まだ多くはないと感じています。就職活動の中で岩崎さんとの出会いが大きな転機となり、弊社の教育制度に強く惹かれました。
他社では、研修期間が3ヶ月程度で、その後すぐに現場へ配属されるケースがほとんどでした。そのため、「教育期間が3年間ある」と聞いたときは、正直驚きました。「本当にそんな制度があるのか」と疑問に思ったのが率直な感想です。
私はもともとコミュニケーションが得意なタイプではなく、いきなり現場に飛び込むことに対して強い不安がありました。だからこそ、長期的な教育制度があるという点は、自分にとって非常に安心できる要素でした。

また、岩崎さんの人柄にも強く惹かれました。言葉ではうまく表現できませんが、「この人と一緒に働きたい」と自然に思えるような温かさがありました。採用活動を“仕事”としてではなく、“人との関係づくり”として捉えている姿勢に、深く感銘を受けました。
BirTskyマシナリー株式会社のこれから

最近の新卒の方々は、まだやりたいことを見つけられていない方が多いです。
これは、私たちの世代の責任だと思っています。怒らない、褒めない、心が動いた瞬間に応えられてこなかった。子どもの頃に心が動いたときに、怒るのか、叱るのか、褒めるのかという判断を、私たちの世代が間違えてきたのだと思います。
だからこそ、遅いかもしれませんが、「ルーキーズ」という枠をつくって、心が動いたことをきっかけに、自分の立ち位置ややりたいことを見つけられるようにしたいと考えています。こうした枠は、気づかなければ絶対に生まれません。気づけるかどうかが、会社の採用や存続にとって非常に重要な鍵になると感じています。
この取組は、ビジネスにもつながります。現在、ルーキーズの枠を使って3年間かけて育てる制度を運用していますが、それを3ヶ月に凝縮した短期育成モデルの試作も進めています。弊社は約290社のメーカー様と取引がありますが、若手育成に悩まれている企業様が多く、すでに「3ヶ月間預けたい」と言ってくださっている企業様が4社ほどあります。
弊社に入ってきた方々には、自分で立ち位置をつくり、先輩に声をかけて、先輩もそれに応えて教える。わかりやすく伝える。新人の方も「どうやったら自分の立ち位置をつくれるか」を意識して取り組んでほしい。それが最終的な目標です。
